※微エロです。
実感から続いています。
熱の所為
まさか、こんなにあっさり了承してくれるとは思わなかった。
シノが特別任務で親父さんと里を出て、3ヶ月もいなかったから、そのお詫びだって冗談のつもりで言ったのに。
キスだけでもかなり抵抗したのだから、こうなるにはもっと時間が掛かると思っていたんだけどな…。
「シノ…ほんとにいいのか?」
信じ難くて、この期に及んでもう一度確かめてみる。
「…………ん」
シノは短く返事をして、なんと自分から俺に抱きついてきた。
なんか…おかしい……。
そう思いつつも、やはり積極的なシノを前にして平静を保てるはずもなく。
堪えられなくなって、身体中に激しいキスと愛撫を繰り返す。
「あっ…」
シノの弱いところに触れたらしく、身体がピクンと跳ね、取り分け甘い声が零れた。
それだけで、興奮するには充分で。
「シノ…もう……いいか?」
聞いてみたが、返事がない。
「シノ?」
どうしたのかと顔を覗き込み、両手を添える。
無理矢理正面を向かせた顔は、熱を持ち、妙な汗が滲んでいる。
息づかいも荒く、手を離すと頭は力無く右方向に背けられた。
正面を向いていられないほど、ぐったりとしているのだ。
「おまっ…シノ!?」
慌てて額に手を当てると、間違いなく熱い。
あたふたとベットから降りて電気を付ける。
と、シノが眩しそうにしたので、サングラスを探す余裕もなく布団を頭まで被せた。
「シカ…マル……?」
パニックに陥りながら服を着て、それでも体温計やら薬やら氷嚢やらを用意せねばと部屋を出ようとした時、微かなシノの声が聞こえた。
「シノ、ちょっと待ってろ。今、楽になるもんを…」
「……………に…………いろ」
「何だ?」
声が途切れがちでよく聞き取れなかったので、一度ドアから離れてシノのもとに寄る。
すると、布団の下から熱に火照ったシノの手が伸びてきた。反射的に、その手を握る。
「何だ?」
もう一度問いかけると、布団の中から、今度は微かながらもはっきりと聞こえた。
「………ここ、に…いろ………どこにも……いくな……」
その命令に、俺は居ても立っても居られず、手を握る力を強めた。
少し、ぼうっとしてるなとは思っていたんだ。
でも、帰還を知らせに来たお前が俺の冗談に真面目に「いいだろう」なんて答えたんで、舞い上がってしまった。
「ごめんな、シノ……」
こんなこと、二度としないから。
お前の小さな小さな変化も見抜けられるようになるから。
それからしばらくシノが眠るのを待って、俺は部屋を静かに出た。
氷嚢はともかく、薬ならよく効くのがあるはずだ。
心の中で二度と同じ過ちは繰り返すまい、と再び誓いながら。
俺は親父を叩き起こした。
(07/2/4)