華 ヒラク
………敵の数は8
…2小隊……キバと二人だけでは分が悪いか
敵の正体がつかめない今の状況では まともにやり合うのは得策ではないな
どうにかして奴等の注意を逸らし ここから脱出しなければ
……だが どうする?
……敵の能力がわからない
ここへ誘い込んだということは 既に奴等のテリトリー内である可能性は高い
…揺動は難しいか……
と なると…
「おい、まさかこの状況でごちゃごちゃ考えてんじゃねーだろーな」
背中越しにも喧しい 声
「ふん。こうなったら、全員ぶっ倒すっきゃねーだろ! 他にどんな作戦があるってんだよ!」
そんなものは 無い
にやりと キバのまとった空気が笑う
それしか ない
この状況を打開するには 手荒だがキバの言う通り 強行突破するしかないだろう
だが……
「どうしたよ。ビビってんのか?」
挑発的な声だ
「おい、さっさと覚悟決めろや。こっちはもう、うずうずして仕方ねーんだ」
背中越しに伝わってくる 不安と 恐怖 そしてそれらを凌駕する程の 闘争心
蟲達が
「そろそろ行くぜ」
ざわめく
闘志が
奮い立たされる
*