キバシノ、同棲生活~昼~
シノが任務に出掛けてしまい、今日一日空いていたキバは赤丸、ヒナタと共に修行をして、丁度昼休憩に入るところだった。
「キバ! ヒナタ!」
「よお、ナルト」
「!!!」
そこへ突然現れたナルトに、キバが片手を上げ、ヒナタが硬直する。
「お前等、これから昼飯だろっ!? なら、一楽に行こうぜ!!」
「ぁあ? でも俺ら弁当…」
「おっちゃんが、7人以上で来たら、チャーシューおかわり5回までタダにしてくれるってよぉ!!」
「マジかよ!?」
「ああ! 今、シカマル達も呼んでっから、お前等が来たら丁度いいんだってばよ! だから」
「おう! 行く行く!」
「ヒナタ! お前も、来るよなっ?」
青年が二人、少年のように瞳を輝かせて盛り上がる中、ヒナタは何とか持ち堪えていたのだが、次の瞬間向けられた青く輝く瞳に、一気に臨界点を越えた。
「お…おいヒナタ!?」
「お前……またかよ!」
「ワンッ!!」
薄れゆく意識の中で、ヒナタが最後に見た物は、白くて大きな赤丸の足だった。
「遅いってばよ!」
ヒナタが意識を取り戻し一楽に到着すると、サクラ、いの、シカマル、チョウジ、そしてなんとナルトが待っていた。
それと見るや否や煙と消えた隣のナルトに、やはり影分身だったのかとキバは思った。
匂いに若干違和感があったのでもしやと思っていたのだ。
「これで、7人だね!」
首を長くして待っていたのはナルトだけではなかった様で、チョウジがとても嬉しそうな笑みを浮かべている。
その横には、チョウジに無理矢理連れてこられたのか、シカマルが怠そうな顔で立っていた。
そんなこんなで食欲旺盛な3名が、きっちり5回おかわりした事は、言うまでもない。
ついでに、チョウジはラーメン本体をいまだ注文し続けている。
「いや~、食った食った! こんなに肉食ったの久しぶりだぜ! シノの料理は美味いけど、肉少ねーんだよなぁ……」
「そういえば、一緒に暮らし始めたんだっけ?」
「どうなのよ~。同棲生活は」
キバの言葉にサクラが言えば、いのがからかい調子で続いた。
「どおって…まあ、それなりに……」
「キバ。お前よくあんな変なのと一緒に暮らせるな。俺には信じらんねーってばよ」
「変って言うなよ。慣れだ、慣れ。そりゃまあ、何かズレてるし、どっかネジが一本多いんじゃないかとも思うが、そこも慣れれば可愛いっつーか…」
ナルトの台詞に応える内、段々惚気気味になりデレデレと頬を弛ませるキバ。
その影ではサクラが「……それってやっぱり変なんじゃない…」と呟き、
シカマルが「人の惚気話ほど、退屈なもんはねーな…」と欠伸を漏らしたが、
そんな事は右から左へ、である。
「でもよぉ。この前会った時、俺が最初気付かなかった事ま~だ根に持ってたんだぜ? しつこいにも程があるってばよ。
あんなんじゃ、こうやって俺らがみんなでラーメン食ったって知ったら、また拗ねんじゃねーの?」
ナルトが憤然と漏らした文句に、始めはははと笑っていたキバだったが、不意にその笑顔が凍り付く。
「キ…キバくん……」
ヒナタが狼狽えたような声を出すと、キバはいきなりガタッと椅子を鳴らして立ち上がり、必死な形相で言った。
「いいか、絶対シノにこのこと言うなよ! いいな!! あいつ、へそ曲げると機嫌直すの滅茶苦茶大変なんだからなっ!!」
一瞬、呆気に取られた面々だったが、キバとヒナタの様子からそれが大袈裟では無い事を悟る。
そして、にやりと悪戯な笑みを浮かべたのは、ナルトだった。
「いいってばよ? 黙ってても。キバが奢ってくれんならな?」
ナルトの悪知恵により、キバの財布は空っぽになった。
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