性感帯開発


「シノ! 今日こそ気持ち良くしてやるからな!!」
そう息巻いて挑戦状を叩きつけてきたキバに、シノはまたかと息を吐いた。
「……いい加減、諦めろ」
「何言ってんだよ! この前少し感じてたじゃねーか!」
「大声で言うな」
顔を突き合わせて、暫し睨み合う。


キバの挑戦は何度目であろうか。
超不感症の自分の性感帯を開発すると勝手に誓ってから、一月は経過している。
毎日迫ってくるわけではないものの、足繁く通うキバの粘り強さには感心を通り越して最早呆れているのが現状だ。
だが、キバの言うように、最近漸く身体が愛撫に反応するようになってきたのは事実で、キバの努力の賜物と言っていいだろう。
それでもまだまだ性的興奮を感じるわけではなく、先走りも無いので挿入も無い。
結局は、自分とは逆に超敏感なキバの一物をイかせて終えるに留まっている。
いつだったか、キバがあんまり一生懸命なものだから、恥を捨てて自分から
潤滑油には唾液でも塗り薬でもなんでもいいのではないかと言ってみた事があった。
いくら不感症でも、内部からの刺激には反射的に反応するのではと。
けれどキバは頭を振って、絶対外側の性感帯で感じさせてやるんだと頑として言い張った。
中に入れるのはそれからじゃなきゃ絶対駄目だと。
そう頑なに言うものの、キバが望んでいるのは伝わってくる。
だから応えてやりたいとも思うが、感じないものはどうしようもない。


シノは、深く溜め息をついた。
そうして、目と鼻の先にあるキバを見つめ、手伸ばしてキバの耳にそっと触れる。
「―――――――っ!?!」
触れた瞬間ビクッとして、キバが反射的に離れた。
「………お前は相変わらず敏感だな」
「……う…うるせぇ!!!」
顔を真っ赤にして、キバが怒鳴る。
あ~っ!くそっ!も~っ!と自分を責めるように頭を掻きむしり、
ええい!とばかりに(実際口に出したが)床を指し示した。



「ぜってーてめぇも敏感にしてやる!! そこに直りやがれ!!!」




こうして、キバの性感帯開発の試みは夜を徹して行われるのであった。





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後書き
………………裏なんだかなんなんだか…。
敏感なシノも勿論好物ですが。
シノが不感症・冷感症で、涙ぐましい努力をするキバってのも面白いかと(^ ^;)
ふっと思いつきました。
別に、いつもこんなことを考えているわけではありませんよ?
(視線を逸らしそらしそらし………)











(07/10/12)