White Kiss
そういえば今日はホワイトデーだったな…、と思いだし、それと同時に彼の顔が脳裏に浮かんだ。
あいつは面倒くさがってお返しもくれそうにないな…、とため息をつく。別に、お返しが欲しいわけではないが。
それでもこの恋人のための行事に少しでも参加してくれたら、と思うだけなのだ。
…死んでも口には出さないが。
ピンポーン、と呼び鈴が鳴った。それを聞き、すぐに玄関へと向かう。
「よ」
扉を開けるとそこにはシカマルが居た。不自然に右手を後ろに隠していた。ああ、隠しても無駄なのに。
「…バレンタインデーの返しか」
「っ、…ちぇ、バレたか」
ばれるに決まっていた。あんな不自然に隠された右手には、何か持っていると思ったから。
シカマルはゆっくり右手を出した。暫くして右手の全てが見せられたのだが。
「…!?」
「ははっ、なーんてな。何も持ってきてねぇよ」
何も持っていないと知った瞬間、まるで自分がバレンタインデーの返しを期待しているみたいに思えてしまい、恥ずかしくなって顔を逸らした。
シカマルはそんな俺を見てため息をつく。
「…期待してた?」
「………」
口はきかなかった。無視した。今顔が熱くて仕方ない。
シカマルはまた小さくため息をつくと、ポケットから何かを取り出し、俺に差し出した。
「…ほら」
差し出された物を受け取ると、それは三つのキャンディだった。最初、それが何を指していたのか分からなかったがすぐに理解した。
「………持ってきてるじゃないか…」
「当たり前だっての。恋人から貰ったのにそれのお返しをやらないのはおかしいだろ…。メンドクセェけど、シノの為だし」
ああ、ちゃんと返してくれた。
少し心が軽くなった気がして、つい顔が綻んだ。シカマルは少し照れくさそうに顔を背けていた。そんなシカマルに言う。
「…有り難う」
するとシカマルの顔が一気に真っ赤になった。顔を手で隠して、恥ずかしそうに呟く。
「お前…、可愛い……」
ふるふると震えながらシカマルが呟いた言葉を聞き、こちらも顔を赤くしてしまった。
気まずい空気がその場を包む。
「………シノ…」
シカマルが俺の名前を呼ぶので、恥ずかしいながらもシカマルの方を向いた。シカマルはまだ顔を手で覆っている。
「…良いか?」
何が、と言う前にシカマルの顔が接近して、唇がくっついた。それだけでなく、生温い物が口の中に侵入してきた。
「ふっ…、んん、ぁ…」
舌が、口の中を犯す。息苦しくなってシカマルの背中にしがみつき、それが生む感触に酔いしれた。
はぁ、と互いの荒い息がする。
暫くしてシカマルの唇が離れた。つぅ、と銀色の糸を引いて。いつの間にか床に押し倒されていて、床の冷たい感触で身体が冷やされた。
行為により熱くなった身体が冷やされて、少し落ち着く。
シカマルはあのキャンディを持って言う。
「…これだけじゃ足りねぇだろ…?もっとやるよ」
その言葉が意味することに気付き、冷やされた身体がまた熱くなるのを感じた。
「……ああ」
シカマルはそれを聞いて俺を抱き上げた。行く場所は俺の部屋。俺は熱く火照った身体をシカマルに密着させた。
沢山愛されて。キスをされて。もっと欲しいとせがんだら、「欲張りだな」と耳朶をかじられた。
シカマルの背中にしがみつく。離さないようにしっかりと。
「ん」
シカマルは自分の口の中にキャンディを含み、俺に口移しした。そのキャンディはミルク味だったらしく、ミルクの濃厚な味が口の中で広がった。
シカマルも同じ味を味わっていると思うと、もっと感じていたいと思って深く口付けた。
END
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
バレンタインに引き続き、甘い甘~いシカシノホワイトデーっ!!
『裏庭の南蛮煙管』様よりまたまたフリーのお言葉に甘えて頂いて参りました!
期待しちゃってるんですよ!
シカマルからのお返しが、シカマルが自分のことを想ってくれているという証明が、
隠そうと思っても隠し切れないほど、欲しいんですっ(> <)
そしてシカマルも何だかんだ言いながら返してくれる。応えてくれる。。
えへへへへ~(デレデレ)
海月様、毎度毎度、どうもありがとうございますww
もう、何が甘いって、シカマルがシノに甘甘ですわ(笑)