幸せの時





午前六時。

はっ、と目が覚めた。いつもより早い時間だ。シノは布団から出て、サングラスをかける。そして殺風景な部屋の窓を開けた。冬の冷たい風が頬を掠める。

今日はシノが生まれた日だ。この寒い中、シノはこの世に生を受けた。

空は雪がちらつきそうな様子だ。下を見れば、霜で辺りの木々が白く染まっている。
そろそろ寒くなってきた。シノは窓を閉めようと、手を掛けたそのときだった。

「シノ~!おはようだってばよ~!!」
「…お、おはよう、シノ」

下から聞き覚えのある声。下を見ればこちらに手を振っているナルトと、何故か知らないが顔を赤くするサスケがいた。

「早く~、入れてほしいってばよ~!!死ぬ~!!」
「…待て。今着替える」

シノはタンスの所へ行くと、そこからいつもの服を取り出す。そして、今着ている服を脱ぎにかかったときだった。

「勝手に上がらせてもらうってばよ~」
「!」

振り向くとナルトが窓から侵入していた。開けっ放しにしていたようだ。どうりで肌寒いわけだ。
途端にしし、と笑うナルトの後ろにいきなりサスケが現れて、ナルトを引っ張り背を向けさせた。

「し、シノ、今の内に着替えろ。…み、見ないから」

サスケは耳を真っ赤にしてナルトを捕獲している。
…別にそんなことはいいのだが。





「はあぁ~…」

シノの家の前で、シカマルは立ち尽くしていた。いつも通り普通にこの扉を開けて入ればいいのだが、今回はそう簡単にはいかない。
シカマルの手には大きめの箱がある。

「ちっ…、柄にもなくケーキだなんて…」

ちなみに手作りである。

「ああー、どーしよ…、メンドクセェな…」

そういって扉を開けるのを躊躇していた時だった。

「お、シカマル?」
「…アスマぁ?」

後ろから声をかけられ振り向けば、シカマルの担当上忍、アスマがいた。その手にあるものは花束。
シカマルの視線が自分の手元にいっていることに気がついたアスマは、慌てて自分の後ろへ隠す。意味無いのだが。

「…何格好つけてんだよ、花束て」
「お前こそ何ケーキとか用意してんだ」
「………」
「………」

二人の間に沈黙が続く。
それを破ったのはアスマだった。

「おっとこんなところで立ってるのもなんだ、中入ろう」
(ちっ…、逃げたな…)

シカマルは心の中で舌打ちしながらも、アスマのお陰で中へ入ることができた。



「あ。猿飛上忍、シカマル」

「よぉ」
「…はよ、シノ」

扉を開けたときに出てきたシノに、二人とも少し赤くなる。まあ後ろにいる邪魔者を見た瞬間、ああうざったいのがいる…と思ったが。

「あーっ、甘い匂いがするってばよ!」
「…あー、そうだったケーキ持ってきたんだよ」
「っ、ケーキ…」

ケーキという言葉を聞いた瞬間、シノの顔が紅潮した。
シノは甘いものが好きだ。それを分かってシカマルはケーキを用意した。シノの好きなものをあげて好感度を上げる…、という戦法である。なんてありきたり!
…とか言っちゃ駄目です。

「おー!ケーキケーキ!!」
「バーローてめぇだけのじゃねーよ。 …まぁ一応全員分あっけど…」

準備いいですね。

「ふん…。俺は甘いものはいらないからな」
「はいはい分かってるし」
「あ…、待て」

シカマルが箱を開けようとしたとき、シノが止める。何だ?とシカマルが問いかけると。

「…キバが」
「…ああ、犬塚か」

アスマはシノが言い終わる前に悟った。その時、周りははあ、とため息をついた。

(…やっぱシノはキバしか見えてないのか…)

サスケはさらに重いため息をつく。その時いきなり扉が開いた。

「シノっ!悪ぃ、遅れた!!」

「キバ」

シノはいつもは表情がよく分からないのに、この時だけは喜んでいることが分かった。

「シノ…。誕生日、おめでとう」
「…有り難う」

お互い見つめ合って。
嬉しそうに話すその姿がまるで恋人のようで、シノを狙っていた四名はキバを妬んだ。

「はいはいっ、早くケーキ食べるってばよ!」

ナルトが痺れを切らしたのかやや怒り気味に怒鳴った。そしてシカマルからケーキの箱を受け取った。

「…ああ、そうだな」

シノはくす、と笑うと、皆を部屋の奥へと案内したのだった。








Happybirthday 1/23!!








                                                                  END



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シノ総受けのキバシノ!!
『裏庭の南蛮煙管』様より、シノ誕フリーということで頂戴して参りました!
総受け! もちろん大好物です!!
アイドル状態なのは、シノがみんなに愛されてるので大好き!
今回のシノファンはナルトとサスケとシカマルとアスマでしたね!
シノに対して気兼ねないナルトに、奥手なサスケ(笑)
そしてケーキを手作りしてきた(!)シカマルに、花束抱えた熊さん!www
みんなシノにメロメロさ――!!
フフフ。しかしキバとシノの間には何人たりとも割り込めないのですvv
シノにとってキバ以外はアウトオブ眼中!
シノ親衛小隊の四人には悪けれども…御愁傷様です。。

海月様! 幸せな一時をありがとうございました!!