星に願いを
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七月七日。
七夕より先に思い浮かぶのは、彼の誕生日だった。
七月七日。
雲の少ない夜で、星が綺麗に見えた。
一人屋根の上に上がって空を眺めた。綺麗な星が黒い世界に散りばめられていた。
どれがどういう星だなんて詳しく知らないけれど、光輝く星を眺めていると、心が落ち着いてくる。
ふと、もう時間は十時だというのに、目の前に人が現れた。顔を見るなりああ、と呟いて彼を自分の隣に座らせた。
「キバ」
「ん?」
彼は隣に座るなり、こちらを見て名前を呼ぶ。彼の方を振り向いたとき、ぱっと目に映ったのはいつものサングラスを外した彼の顔。
次第に近づいてきて、唇に柔らかいそれが触れた。
いつもはこっちからばかりなのに、今日は珍しくあちらからキスをしてきた。ああ、可愛いなと思って彼の頭を手で押さえ、もっと深くキスをした。
時折開ける隙間から彼が少しずつ息を吸う音がして、苦しいのかなと思いながらも舌で彼の口の中をグチャグチャに犯した。
ほんのりと彼の頬は赤く上気していた。目を瞑っていて、長い睫が月の明かりに照らされ影を落とす。
綺麗だな、と思った。もう少しだけ彼の口の中を堪能してから唇を離した。
離したときに漏れた切なげなため息が妙に色気づいていた。
「シノ、どうかしたのか?なんか変だ」
「変ではない」
彼は眼を細めちらとこちらを見た。赤い瞳はさっきの行為で少し潤んでいて、それを見て胸が疼いた。
「今日はおまえの誕生日だから」
ぽつ、と呟いた一言。たったそれだけの言葉で、さっきの行動がなにを示していたのかに気づいた。
「つまりさっきのは…誕生日プレゼント?」
「ああ」
ああ…、こいつ可愛いなと頭を抱えた。本人無自覚だから仕方ない。
今だって、純粋無垢な汚れのない瞳で今とても汚れきったことを考えている俺を不思議そうに見つめている。
「…なあシノ」
今日ならちょっとわがまま言っても良いよな、と思った。
「もっと良いプレゼントくれよ」
「…何?」
「いや、だからさ~」
ちょっとだけ格好つけて、彼の肩を引き寄せた。耳元で小さく囁くように言う。
「シノちょーだい」
顔を離してみたら、らしくなく動揺した瞳の彼がいた。サングラスをかけていたら絶対に分からないけれど、外していたらすぐ分かる。
「と、言うことで強制連行ー」
「なっ待て!」
彼をお姫様だっこして自分のベランダに降りた。だっこしている間彼は嫌がって暴れるが、彼は自分より遙かに力がない。
それに身長は負けているが体格は自分の方が上回っているから、自分にしたらただ腕の中でもぞもぞと動いているようなものだった。
ベッドの上に降ろしてからも彼は嫌がって暴れたが、優しく頬にキスをすれば大人しくなって身を委ねた。
ああ、前よりも幸せな誕生日だ、と彼に口づけをしながら思った。
Happy Birthday Kiba!
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フリーということで、ウハウハしながらいただいて参りました!
「キバ幸せだな、良かったな!」と海月様はあとがきに書いておられましたが、これを読んだ時の私の第一声は、
「私が幸せだ!」 でしたw
読んでてもキバが羨ましかったですよvv
海月様の書かれる作品はシノがちゃんと受けで、ほんと素敵です(デレデレ)
私が書くと受け味はどこ?って感じになってしまうから、ものすごい糖分補給率ww
もう、端から端、一字一句隅々まで味あわせて頂きました!(←微妙なHENTAI発言をすみません‥)
どうも御馳走様でした!(> <)