シノの理由
「なあなあ、シノ」
「なんだ」
森林の匂いが立ち込めるシノの部屋で、キバが唐突にシノを呼んだ。
キバが遊びに来たにも関わらずマイペースに虫の観察をしていたシノは、虫籠から目を離すことなく応える。
そんなシノにかまわず、キバは持ち込んだ漫画を読みながら問う。
「あのさ。……シカマルのどこがいいんだ?」
「は…?」
唐突なキバの問いかけに、シノが漸くキバを見た。
丁度その時、赤丸がシノの蟲を追いかけて、キバとシノの間に割って入った。
「赤丸。走るなら外行けよ」
「アゥ、アンッ!」
キバの注意を受け、赤丸は素直に外へ出て行く。その後を、シノの蟲が追う。
「で。なんでだよ? シカマルってさ、めんどくさがりで、不真面目で、いっつも授業中寝てばっかだったし。
補習とか罰則の時もテキトーで、あいつ、悪知恵滅茶苦茶はたらいてよ、いつだったか、イルカ先生騙くらかしてまんまとサボりやがったし。
生真面目なお前と合わなそうな気がすんだけど…?」
「………」
「………」
「………」
「………………あれ…?」
いつまで経っても黙ったままのシノに、キバが漫画から顔を上げる。
シノは、相変わらず虫籠を覗いている。
「………おい、シノ……?」
その様子に、キバは首を傾げた。
「…お前、なに拗ねてんだよ」
「………拗ねてない」
「拗ねてんじゃん」
「拗ねてない」
それから暫く拗ねてる拗ねてないの言い合いが続き、結局キバは、シノの理由を聞き忘れてしまうのであった。
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あとがき
キバがあんまりシカマルの事を知っているので拗ねてしまったシノです。
第二部で、シノは完全に拗ねキャラ決定でしたね。
拗ねてる可愛いシノをどうぞ。
(07/4/28-9/16)