――夢をみた

そう、シノは言った。

――あなたが消える夢だ

そう言って、嫌いな煙草の匂いが染みついた、俺にしがみついてくる。

――消えたら、許さない

それは希望ではなく。

「……そうか」

それなら

「……許すな」

許さなくていい

――わかった

シノは、そう言った。

本当ならば　忘れろ、と

解放してやるべきなのに…

―――わかった

シノは、何故かもう一度、そう言った。

それがどういう意味なのか、俺には分からなかったけれど

「………そうか」

この痛みだけは　刻み込もう

許さない者の痛みと
許させない事の痛みを…


そんな夢から目を醒ます。

それは希望ではなく

ただの　desire―――。












（後付けＳＳＳ 11/1/23）